あの一瞬の夢のような数時間。
あの時間から僕の心はどこかに浮き上がっていた。
浮かれる、という意味ではなく。
現実と違う場所を漂っていた。
平たく言えば…ぼんやりしていたのだ。
「おーい、古泉?」
「あ…。何か?」
また級友の声に気付いていなかったようだ。
彼らは僕の変化について、涼宮さんにフラれたと説明づけているようだが。
…まあ事実としてはそう間違ってはいない。
彼女は僕じゃない男性に完全に心を奪われたのだから。
僕と彼らの認識の違いは僕自身も同じ男性に心を奪われている所にある。
愕然とする事実だが…現実にどうしても忘れられない。
何故…か、本当にわからない。
でもあの日、彼が消える瞬間に見せた笑顔。
僕はあの笑顔を確かに知っていたのだ。
そんな確信が確かにあった。
そしてもうひとつ。
…何と言った?あの時。
あの言葉を思い出せばまた彼に…。
『俺は必ず…。』
そうだ、彼はこう言って…。
「…あの、あんた。」
「え…?」
思い出しかけた時、突然かけられた声に思考が妨げられた。
振り向くと。
そこには。
『戻って来るから。』
「…おかえりなさい。」
「…?」
彼が、いた。
僕たちの彼が戻ってきた。
END
やっぱり消失の後に世界が続いていれば後悔かな?;;
向こうの世界の彼らにもキョン君はきっと必要ですよね。
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